So-net無料ブログ作成

9番目の夢.8 [20才と31才の恋話]

 会社における昇の朝は、その日一日の仕事について夏代と打ち合わせを行うことから始まる。
「夏代。新しい部屋には、もう慣れたかい。引っ越しの後かたづけやなんかは、もう終わったのかな」
「ええ。おかげさまで」

「すまなかったね。何もお手伝いに行けなくて」
「しょうがないわよ。男子は絶対禁制のアパートなんだもの。来てもらったって申し訳がないだけだわ」
「それにしてもさ。今どき男子禁制のアパートってのも珍しいよな。寮とかならともかく」
「もう異常よね。引っ越しの時でさえ、男の人に荷物の運びこみを手伝ってもらっちゃいけないっていうんだから」

「まあ、男子禁制の方が俺は安心していられるけどな。夏代に悪い虫がつかなくて」
「センパイ、やめてくださいよ。そんな、口うるさい親みたいなことを言うのは」
「へん。どうせ俺は夏代の親みたいな齢ですよ。あまり年寄りをいじめるもんじゃないぜ」

「そういじけないで。ところでセンパイ、今日のお仕事は何をやればいいの」
「おう。じゃあすまないが、さっそくとりかかってもらおうか。今日はまず計画書の文章を打ち込んでもらわなくっちゃならないんだ。夏代はさあ、キーボードからの打ち込みなら、これはもうお手のものだよな」
「まかせてくださいよ。最近ついに、キーボード見なくても打てるようになったんですから」
「ほお、そいつはすごい。俺ですら完全に見ないでは打てないというのに」
「それで、この原稿を打ち込めばいいんですか」

「ああ、そうだ。そうだけど夏代、ちょっと待った。今ふと思ったんだけど、今のうちにひとつちゃんと訊いておくことにしよう」
「えっ、何ですか。また改まっちゃって」
「夏代さあ。夏代はこの会社で、いったいどんな仕事をしたいと思っているんだい」
「はあ。センパイの言っている意味が、ちょっとよくわからないんですけど」

「9番目の夢」の続きを読む


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:恋愛・結婚
メッセージを送る