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女にとって男は消耗品? [恋愛小説などから学ぶ]

村上龍『すべての男は消耗品である。』集英社文庫など

 村上龍が雑誌に連載した雑文を収めた『すべての男は消耗品である。』は13巻まであり、単行本や文庫本は巻によって、いろいろな出版社から出版されています。
 しかし初巻は今では集英社文庫の一冊として出版されている他、電子書籍も出版されています。
 なお、電子書籍では全13巻を収めた「完全版」も出版されています。
 そして初巻に収められた「すべての男は消耗品である」という題の文章には、次のような逸話が掲げられています。

オレとオレの友達とその恋人と三人で、青山の広いバーにいた時のことだ。ステーキがうまい店だった。オレの友達とその恋人は、別れ話に花を咲かせていた。オレの友人はものすごく明るい奴なので、笑って別れようというつもりだったのだが、そうはいまくいかなかった。いくわけがない。女の方が泣き始めた。
 かわいい女だったので、まわりの客達もみな好意的な眼差しを向けてくれていた。そんなかわいい女を泣かせて悪い奴だ、などと思われて少しうれしかったのか、それとも単なるテレか、オレの友人は終始笑いながら、
「な、決して、愛がなくなったわけじゃないんだよ、疲れてしまったわけでもない。君の幸福を考えると、オレ達は今、別れた方がいいと思うんだ」
 などと都合のいい、勝手なことを言っていた。そこで、その店自慢のステーキが出た。泣いていた女は、ステーキを食べた。二切れ食べて、オレの方を向き、こう言ったのだった。
「おいしいっ、リュウさん、このステーキ、本当においしいわよ、冷めないうちに、食べたら」
 両の瞳を涙で濡らして、そう言ったのだ。オレは、唖然とした。オレの友人も唖然としていた。
 女の涙は本物だった。間違いなく彼女は悲しみの極みにいたのだ。
 そこでオレ達は推測する。メシは喉を通らないのではないか……そんなことはない、通るのだ。おいしいっ、と言って、どんな時にでも、女はステーキを食べるのだ。そんな女に、かなうわけがない。

 そしてその少し先では、次のように書かれているのです。

 例えば、戦国時代など、城が落ちて敗れた主君の後を追って自害する奥方が美談としてよくテレビなんかに出てくるが、あんなものは嘘に決まっている。実際、そんな奥方も何人かはいただろうが、自分の主君を殺した男の新しい妻に収まるケースが多かったのは間違いない。昔からそうだったはずだ。泣きながら、「おいしいっ」とステーキを食べる女達は、あっという間に主君の死を受け入れ、他の男に走るはずなのだ。

 この文章が雑誌に掲載されたのは、1980年代の半ばだったようです。
 その頃の日本では大人の男女は結婚するのが普通で、しかも既婚の女性は専業主婦の比率が高くなっていました。
 つまり当時の女性にとって恋人や夫は、「生活費と子種を提供してくれる相手」だったのだと考えることができます。そして恋人や夫と別れてしまっても、同じ機能を果たしてくれる別の恋人や夫が現れたら女性はそちらの男性の「新しい妻に収まる」。すなわち女性にとって恋人や夫は、「生活費と子種を提供してくれる」という機能を果たしてくれる消耗品だ――そう村上龍は考えたのでしょう。

 前掲の文章の少し先では「これで、全ての女が経済的自立を果たして、組織労働者・現代の奴隷達がロボットに職場を奪われる日がくると、間違いなく、一夫一婦制は崩壊するだろう」と書かれています。
 二十一世紀の初頭の日本では当時よりも女性の就業率が上がった一方、専業主婦を養うことができるだけの収入を得られる男性の比率は下がりました。
 かつて人間が行なっていた仕事をロボットなどの機械が行なうようにもなりつつあります。
 1980年代に村上龍が予言したように、男と女の関係は決定的に変わっていくことになりそうですね。

下にある本の画像をクリックすると、その本に関するAmazon.co.jpの該当頁が表示されます。

すべての男は消耗品である (集英社文庫)


すべての男は消耗品である。VOL.1: 1984年8月~1987年6月 バブル前夜


すべての男は消耗品である。VOL.1~VOL.13: 1984年8月~2013年9月 連載30周年記念・完全版

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なおぼん

おひさしぶりです。
村上龍さんのおっしゃる通りだと思います。
男は「消耗品」と言ってしまえば、もう「味噌っかす」みたいで救いがありませんが、そこまで言わずとも「一過性のもの」ではあるわね。
あたしにとっては「過去の人」でも、誰かさんにとっては「ときめく人」になるかもしれない。
龍さんの指摘する「戦国武将の妻」も、まさしく「乗り換え」て生き延びるメス猫のような生き様だったでしょうね。
強い男を渡り歩く女は、一見、あてなく漂泊しているようですが、選ばれているのは男の方です。
生物一般がそうなのだから、ヒトだけ例外ということは考えにくいと、あたしなどは思うのです。
記事のインデックスをつけられたのですね。
見やすくなりました。
by なおぼん (2016-12-23 23:43) 

梧桐渉

なおぼんさんが書いてくださったCommentに関して、下記の頁で言及させていただきました。
http://gotolove.blog.so-net.ne.jp/2016-12-24
by 梧桐渉 (2016-12-24 14:24) 

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