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『関係する女 所有する男』 [読者の皆さんと考える]

 当塾の「官能小説の山場を紹介」の頁に「いとたむろ」さんが先日、ご自分のblog「うさんくさいblog」へのトラックバックを付けられました。「いとたむろ」さん、どうもありがとうございます。
 当塾は開設されてから、ほぼ二年半が経っています。しかしその間に付けられた、いわゆる有害サイトなどへのものではないまともなトラックバックは確か、まだ数件でしかありません。
 どうも日本ではblogのトラックバックは、あまり普及していないようですね。

「いとたむろ」さんのblog「うさんくさいblog」は最近、読んだ本の感想などを書いておられる回が多いようです。
 2010年の7月19日には「直感と信念に基づいた思想と現実」という題で、斎藤環『関係する女 所有する男』講談社現代新書を取り上げておられます。
 この『関係する女 所有する男』は2009年の9月に出版され、私もすぐに買って読みました。
 当塾の内容を批判的に補完してくれる部分が多く、私にとってはありがたい本だと言えるように思います。
 当塾の「恋愛実用書などで学ぶ」でご紹介することも考えたのですが、その機会を得ないまま今日に至ってしまいました。

 たとえば当塾の「恋愛実用書などで学ぶ」では、ピーズ夫妻が書いた『話を聞かない男、地図が読めない女』や『嘘つき男と泣き虫女』をご紹介しています。
 しかしこの『話を聞かない男、地図が読めない女』などに関しては、森岡正博らが「トンデモ本に近いので、読まないほうがよい」などと批判しております。詳しくは当塾の「森岡教授お薦めの本.4」や、「恋は遺伝子が決める?」の頁をご覧ください。
 そして斎藤環も『関係する女 所有する男』の中で、次のように書いています。

性差の脳科学がいかにまともな根拠に基づいていないかは、いくらでもあるこの手の本の任意の頁を開いてみればすぐわかる。
 僕が知る限り、そのもっとも悪質な例は、アラン・ピーズとバーバラ・ピーズによるベストセラー『話を聞かない男、地図が読めない女』(主婦の友社、二〇〇二年)である。あらためて手に取ってみて驚いたのだが、この本で紹介されている科学的知識の多くが、まったくの誤謬かでたらめである。

 そしてその上で斎藤環は、その「誤謬」の例をいくつも示しているのです。

 また当塾に掲載した「恋愛で必ず幸せになる秘訣」の「第一部第三章 遺伝子にあやつられるな」で私は、以下のような主旨のことを書かせていただきました。

 人類の遺伝子が持っている遺伝情報は男が狩猟を行ない女性は子育てなどに専念していた原始時代に形作られたので、いまだそのような生活に適した異性を選ぼうとする傾向がある。しかし狩猟ではなく農耕などが主となった時代には、そのような異性の選択は必ずしも適切でない。

 しかしこの件に関しても『関係する女 所有する男』の中では、次のように書かれています。

果たしてわれわれの先祖は本当に「男は狩猟、女は子育て」といった分業体制をとっていたのか。確たる証拠は何もない。実はこの分業イメージは、現代のジェンダーのありように基づく憶測でしかないのだ。むしろ女性が狩りや戦いに参加していた可能性を示唆する発掘資料も存在する。

「確たる証拠」がないことは私も知っていましたが、「女性が狩りや戦いに参加していた可能性を示唆する発掘資料」の存在は初耳でした。
 このように『関係する女 所有する男』には、私と当塾の読者の皆さんにとって参考になる記述が多く含まれています。著者の斎藤環は医学博士なだけに、終章の前まではきわめて論理的かつ科学的な姿勢で書かれていると言えるようです。
 終章「『ジェンダー』の精神分析」は、精神分析の立場で書かれています。「いとたむろ」さんが本書を「思想書のような感じ」と言っておられるのは、一つにはそのためもあるのでしょう。しかし終章も、いろいろなことを考えさせてくれる記述が多いと言えるように私は感じました。

(「いとたむろ」さんは私人だと思われるので、さん付けにさせていただきました。
 一方で斎藤環や森岡正博らは本の著者なので、書評の慣例に従い敬称を省かせていただきました。
 扱いが不平等なようで、どうも違和感を禁じえないのですが)

 この話は明日、当塾に掲載する予定の「女性の快感は強くない?」に続きます。

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関係する女 所有する男 (講談社現代新書)


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いとたむろ

藪から棒のトラックバックで失礼しました。
当方のブログ記事も紹介して戴けるとは思いませんでした。
快く受け止めて下さりありがとうございました。

斎藤環先生は
「男脳・女脳」を主張するトンデモ本を否定されてますが、
先生の考え方じたいも
男性中心文化によって規定されてる
無意識の影響から自由な訳ではないので、
トンデモ本よりまともなのかというと
ちょっとうさんくさい気がします。
(うさんくさいものは好きです)
「ジェンダーフリー」を唱える人たちは
文化自体を否定しようとしますが、
斎藤先生は文化の影響を前提として認める必要があるという
主張なのだと思いました。
でも「文化」とか「影響」は科学的にはつきとめきれてない現象で、
精神分析を前提に整理しても
科学的に正しいとは言い切れない説明だと思います。
フロイトやラカンが男性中心文化の代表格とも言える思想を
展開してきたことを考慮に入れると、
それをもとに説明を展開するのは
自分の考えに合う理論をもってきて論証しようとしている
やり方に見えます。
それは科学でも哲学でもなく、
私はこう思う、という斎藤環先生の主張なのだと思いました。

男性と女性がそれぞれの感じ方・関わり方の違いを認め
尊重し合いながら、暮らしていければ一番ですよね。
一番いいことは一番難しいような気もしますが、
梧桐渉さんも、そこを大事に考えていらっしゃるのだろうと
勝手に想像しました。

これを機に時々拝読させて戴きます。
続きの記事も楽しみにしております。
by いとたむろ (2010-09-26 09:01) 

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